2-1.気流構成と主な形状

ヒュームフードには最低限有しているべき形状や構成要素があります。
正しく設計・製作された製品は適切な気流性能を有し、乱流を起こしたり無駄な排気をすることが無く、高い封じ込め能力を持つことが可能です。特に空気が流入する開口部周囲の形状、内部のバッフル板の形状、エアフォイルの有無などが気流性能に大きな影響を与えます。

単なる排気ボックスでは様々な問題が生じます。 (図2-1a.参照) 開口部においては排気口に近い上側に気流が集中し、流入する風速の均一性が取れなくなります。(①の部分) 内部では乱流を形成する場所が多くなり、外部に漏れが生じやすくなると共に内部のガスが停滞する量が多くなります。(②の部分) コーナー部では気流が滞留してしまう場所が複数発生します。(③の部分)


図2-1a 不適切な形状例

ヒュームフードの各部には様々な工夫が施されています。 前面の開口部を通過する風速(制御風速)がなるべく均一になるようにしたり、内部で発生したガス等が漏れてこないように乱流の発生を少なくしてバランス良く排出されるようにするなどの対策が取られています。
特に内部背面にあるバッフル板は気流構成に大きな影響を及ぼすため、様々な形状が考案されています。

基本構造には様々な形状がありますが、正しく設計された製品は適切な気流性能を有します。 (図2-1b.参照)
バッフル板は内部のガス等を有効に分配排出する他、制御風速を均一にする効果があります。
最も一般的な製品は上下可動式の垂直サッシを有していますが、サッシの裏側では気流の回転現象が起きることが良く知られています。この現象は「ローリング現象」と呼ばれています。(④の部分)


図2-1b 適切な形状例


ヒュームフードの気流構成には幾つかの方式があり、独自の構造を持ったものもあります。 それぞれの方式には固有の特長があると同時に使用上の制限や注意が必要になることもあります。
実験内容や使用状況に応じて適切な機種を選定する必要がありますので、主な方式や注意事項を覚えておくと選定時の役に立ちます。
ヒュームフードの方式としては大きく、
・基本形状による違い
・付加機能による違い
があり、様々なタイプが存在します。
(図2-1c.参照)

LinkIcon基本形状の種類と特長表 2-1a.

LinkIcon構造付加機能タイプの種類と特長 表2-1b

LinkIcon制御付加機能タイプの種類と特長 表2-1c.


図2-1c.形状や付加機能による分類


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表2-1a:基本形状の種類と特長

表2-1b: 構造付加機能タイプの種類と特長



表2-1c:制御付加機能タイプの種類と特長表