4-1.局所排気装置周りの換気(排気+給気)設備と室内環境目標の対応(1)

4-1-1.化学物質濃度管理関連:汚染空気の封じ込め&汚染空気への暴露防止

(人の吸い込み空気量は食物・飲水の10倍以上。一番大事なのは人体を取り巻く空気環境!)

①局所排気装置の排気性能
◆原則は、規則に適合した装置(全開時0.5m/s)を使用の事。地域等により低風速タイプのヒュームフードが認可される事もあるが、選定に当たってはストッパー設置等の使用制約条件に注意
◆排気設備の集約度に応じた様々なシステムに係らず、局所排気装置&排気設備(ファン・ダクト・排ガス処理装置)は「一体の排気システム」として機能する事に留意
◆昼夜を問わず「局所排気装置の使用時(薬品・試料の放置時含む)」には、排気設備の連動自動運転が必須
◆反対に「局所排気装置の非使用時」には、排気設備の連動自動停止と逆流防止ダンパー自動閉鎖が安全と省エネのため必須


②実験室の微負圧維持(排気量に応じた給気量の確保)
◆局所排気装置使用時には、実験室の扉が開いても汚染空気が漏れ出ぬよう、実験室の微負圧維持が必要
◆このためCAV・VAVと言った排気方式を問わず、「排気量に見合った給気量の確保」が必須
◆これがないと、「階中の掃除機状態」「ドア周りの風切音発生」等の、あまりに酷い実験環境が現実のものに
◆給気には、空調給気や全熱交換器給気等の方式があるが、頭上からの冷温風吹出を避けるなど、研究者の快適性・研究生産性を考慮して選定の事
◆負圧管理と排気量に応じた給気が確保されれば、実験室の換気回数や負圧維持の制御方式は不問

③空調吹出口等の交差気流防止
◆ヒュームフード等の、局所排気装置サッシ面からの吸込気流を乱す、「交差気流」防止は必須
◆このためには、空調吹出口面積を広げて「吹出風速を0.2m/s以下に抑制する」か、空調吹出口等をサッシ吸込面から十分離して「サッシ面での残風速を0.2m/s以下に抑制する」事が必須
◆このほか、同様に交差気流を防止する意味で、空調吹出口と吸込口(排気口)の配置関係、室ドアや窓開口部とヒュームフード等局所排気装値の配置関係に、十分な考慮を払う事が必須


④環境安全教育&EHSマネジメントに基づく局所排気装置操作支援
◆局所排気装置内での化学物質取扱いの徹底による、汚染物漏洩防止が最も重要
◆正しい局所排気装置の使用に伴う、汚染空気への暴露防止が次に重要(離席時のサッシュ閉鎖、保護メガネ着用等を含む)

⑤局所排気装置メンテナンス
◆「一体の排気装置」として機能させるため、「局所排気装置の定期性能検査&実験室の環境測定」・排気設備(ファン・ダクト・排ガス処理装置)のメンテナンス」は、化学物質濃度管理のために必要不可欠